運動量保存は、相互作用の間に系に加わる外部からの力積が無視できるとき、系の**全運動量(ベクトル和)**が変化しないという法則です。衝突・爆発・反動など短時間に大きな力が働く問題で特に有効です。
基本形
多粒子系では
P = Σ p_i = Σ (m_i v_i)
P_before = P_after
が成り立ちます。
条件:外部力積
一般に
ΔP = J_ext = ∫ F_ext dt
であり、相互作用時間が短く J_ext ≈ 0 とみなせるときに全運動量は保存されます。重力や摩擦が存在しても、短い衝突ではその力積が小さければ近似的に保存します。
内力が相殺される理由
内力は作用・反作用の対として現れるため、全粒子で和を取ると内力は相殺され、外力だけが全運動量を変化させます。
1次元2物体衝突(反発係数)
反発係数 e は接触線方向の相対速度で定義します。
e = (衝突後相対速度)/(衝突前相対速度)
= -(v2 - v1)/(u2 - u1)
運動量保存と合わせると
v1 = (m1 - e m2)/(m1 + m2) * u1 + (1 + e) m2/(m1 + m2) * u2
v2 = (1 + e) m1/(m1 + m2) * u1 + (m2 - e m1)/(m1 + m2) * u2
となります。完全弾性は e = 1、完全非弾性(くっつく)は e = 0 です。
質量中心の見方
V_cm = (Σ m_i v_i) / M
P = M V_cm
外部力積が無視できるなら V_cm は一定で、衝突は一様運動する質量中心の周りでの内部的な再配分として理解できます。
よくある混同
- 保存されるのは全運動量であり、各物体の運動量が不変という意味ではありません。
- 運動量はベクトル(1次元では符号付き)なので打ち消し合います。
- 運動量が保存されても、運動エネルギーは一般に保存されません(非弾性衝突)。