数値積分は、常微分方程式(ODE)の解を有限の時間刻み Δt で近似的に追跡する方法です。力学では、積分器と刻み幅の選び方が精度だけでなく安定性や長時間のエネルギー挙動(ドリフト)にも影響します。
ODE の基本形
x˙ = f(x, t)
t_n = t0 + nΔt とし、x_n ≈ x(t_n) を計算します。
陽的オイラー法
x_{n+1} = x_n + Δt f(x_n, t_n)
実装は容易ですが、振動系では Δt が大きいと不安定になりやすく、エネルギーが不自然に増減することがあります。
準陰的(シンプレクティック)オイラー
(q, v) 形式では v を先に更新してから q を更新する方法が、保守系で長時間の挙動を改善することがあります。
Verlet 系
位置 Verlet や速度 Verlet は時間反転対称性を持ち、単純なオイラーよりエネルギードリフトを抑えられることが多いです。
4次 Runge-Kutta(RK4)
x_{n+1} = x_n + (Δt/6)(k1 + 2k2 + 2k3 + k4)
固定 Δt で高精度ですが、長時間のエネルギー保存を保証する方法ではなく、計算コストも増えます。
誤差・安定性・刻み幅
- 局所打ち切り誤差と全体誤差
- 安定領域(スティッフ系で重要)
- Δt を小さくして収束性を確認
基本的なチェックとして、Δt を半分にして結果の変化を見る方法があります。
実用上のポイント
- 系の性質(保守・散逸・スティッフ)と目的(長時間安定・短時間精度)で積分器を選びます。
- エネルギーや運動量の監視は有効ですが、減衰や外力がある場合は変化の意味を文脈で解釈します。